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たばこを吸うと他人も害になる/受動喫煙問題と禁煙アロマセラピー

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タバコがやめられない方、やめたいけどつい吸ってしまう、または禁煙外来に行かれている方もいらっしゃると思います。

なぜやめられないのか、それには医学的根拠があります。

タバコには、タールやニコチンが含有していることはよく知られています。そのほかにも、ヒ素やアセトンなどの有害成分など、発がん性物質だけでも数十種類が含まれているそうです。

主に肺がんは、タバコを要因とした疾患として、わが国の死因率第一位ですが、呼吸器系に関わらないがんも増え、食道がんをはじめとした多くのがんリスクがあるようです。またタバコの有害は、がんを発症後の予後にも影響するであろうという報告がされています。

今回は、いま社会的な問題である受動喫煙のリスクがテーマです。他人のタバコの煙でも重疾患リスクが増えている現状をお伝えします。

タバコは吸わないほうがいいと真剣に考えている喫煙者の方に、禁煙補助のひとつの方法として、「禁煙アロマセラピー」があります。香りの世界とタバコの匂いにおける脳機能と嗅覚の働きを医学的に研究している神保太樹先生にお話を伺いました。

わが国では、これまで長く健康増進法における努力目標として、受動喫煙を減らすことを勧奨するまでに留まっていました。しかし2018年7月18日、改正健康増進法が成立(改正健康増進法の全面施行は2020年4月1日)。これにより罰則が規定され、喫煙が禁止されている場所での禁煙は最大50万円の過料が示されました。

これまでは喫煙場所が必ずしも明らかでなかったと思います。その結果、制御することができず、非喫煙者が望まずに喫煙者の煙を吸ってしまったり、また喫煙者もそういう意図はなくても、受動喫煙をさせてしまうといったことが問題となっていたわけです。

法改正後は、学校、病院、児童福祉施設等においては施設内全面禁煙になりました。そのほか、施設場所等で必要であれば喫煙場所の設置が義務付けられました。事務所や中規模以上の飲食店等に関しては、完全に禁煙にしてくださいということになっています。このように、わが国ではこれまでより強く喫煙を減らして行こうという政策がうかがえます。

医学的な学説からでも受動喫煙は、非常に強い害があるとされています。どのくらいの害があるのでしょうか。

受動喫煙による年間死亡者数は60万3千人

受動喫煙(他人のたばこの煙を吸わされること)と個別疾患との相対危険度
(非喫煙者を1とした時の受動喫煙者の危険度)
肺がん死亡率(US-EPA報告1998)は1.19倍
虚血性疾患死亡率(Heらによる調査1999)は1.25倍

この数値を見て、低いと思いますか、高いと思いますか? 1.2倍程度なので、低いという方もいますが、人数を見れば明らか。2004年の受動喫煙による年間死亡者数を見ると、60万3千人もの人が、受動喫煙が原因で亡くなっていることがわかります。

受動喫煙に起因する肺がん、虚血性心疾患による年間死亡率を見ると、家庭での起因が「家に長く居る女性」の人数が多いことがわかります。また、いまは男女ともに勤務時間も同等のため、大体同じくらいの人数数値が出ています。

ここまで喫煙による死亡率の高い疾患を説明しましたが、実はそれ以外にもあるのです。

喫煙すると認知症になりにくいというのは嘘

精神疾患については、入院をするほどの重症を発症するリスクが高くなることが報告されています。年齢の若いときから吸い始めると、将来的にカラダに影響を及ぼすことも医学的に明らかになっています。

かつて、喫煙者が認知症になりにくいという説があったのですが、それは、喫煙者は認知症の好発年齢(概ね65歳以上)まで生きられる可能性が少ないという理由から、結果的に認知症発症者が減ったという見解ものです。厚生労働省の発表なども含め、いくつかの研究の報告から計算すると、たばこ1本は寿命を14~15分程度奪うとされているのです。

ヒトの脳内において、ドパミンの濃度が何らかの原因で上昇すれば、当然、強力な身体依存を引き起こす。

ドパミンだけを見てもニコチンが強い依存性を示すのは納得がいく話である。


とはいえ、カラダによくないとわかっていても、タバコをやめることができない。その理由は、タバコの成分のうち、特にニコチンに強力な依存性があるからです。ニコチンは、神経伝達物質であるアセチルコリンの受容体にニコチンが到達することでドーパミン(中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある)の分泌を促します。

これによって、タバコを吸うことにより快感が得られます。最近の報告では、喫煙するとドーパミンのみならずセロトニンやグルタミン酸など多種の神経伝達物質の分泌がニコチン摂取で増加することが報告されており、これらの作用から喫煙は強固な身体的依存を促すことがわかります。この快感は、カラダが覚えてしまうのでなかなかやめられないのです。精神的には吸うとなんとなく安心する、イライラがおさまるというもの。

こういった、カラダと心の二つの依存がたばこにはあります。

そこに禁煙をするとイライラしたり、集中力を欠いたり、不安を感じたりするなど多様な離脱症状を呈するのです。心理的依存もあわせて生じるため複合的に禁煙難度を高めていると考えられています。

現研究段階においては、クラリセージというハーブの匂いは、ドーパミン系を解して抗ストレス作用をもたらすとの発表があります。

そのほか、レモンの香りはアセチルコリンの総量を増やすという報告もあります。よって、多様な神経伝達物質の分泌を、精油の匂いが制御できるかもしれないとのことで研究が進められています。


次回は、さらに香り(アロマ/精油)が神経伝達物質を調整する研究報告のお話をお伝えします。

【参考文献】
たばこと健康に関する情報ページ(厚生労働省)
・Seol GH,et al:Antidepressant-like effect of Salvia sclarea is explained by modulation of dopamine activities in rats.J Ethnopharmacol. 2010 Jul 6;130(1):187-90.
・鳥居伸一郎:脳に効く香り: 精油の効果をモノアミンで考える (香り新書).フレグランスジャーナル社,2017.
禁煙資料館(一般社団法人 くまもと禁煙推進フォーラム)

【情報提供】
株式会社T-LAB. 統合医療研究所 所長
一般社団法人 日本アロマセラピー学会 副理事長
神保太樹先生

・統合医療研究所T-LAB.
t-lab-clinic.com

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