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自然栽培はパイオニアかつ、根本的な本質農法だった。フレンチ浅川勇人シェフが語る本当の健康野菜とは

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健康的で美しいカラダづくりに欠かせない野菜。みなさんは毎日の食生活のなかでどのくらい野菜を摂取していますか? いまは通常のスーパーマーケットでも、オーガニック食品や生産者名記載の食品が並び、手軽に健康野菜を食卓に取り入れることができます。

そんな、みなさんが毎日身近に接している野菜や果物ですが、そもそも農作物の栽培方法には、定義の違いがあるのをご存知でしょうか。慣行栽培、有機栽培、無農薬栽培、そして自然栽培など……。

今回は、日本発祥の「自然栽培」にフォーカスしたお話です。植物のための原点回帰の考え方である自然栽培という農法。その食材を使ったレストラン「ナチュラル・ハーモニー銀座店」内、「Restaurant日水土」シェフ浅川勇人さんにカラダに優しくおいしい野菜についてお伺いしました。

自然栽培は肥料をも使わない本来の農作物の姿を引き出す農法

自然栽培野菜
画像出典:
fotolia

自然栽培の大きな特徴は、人為的に肥料成分(栄養素)を供給しないこと。基本的に大自然の生態系そのままを手本としている栽培方法です。例えば野山は人為的に手を入れなくても、常に四季折々季節が変わるごとに植物は花を咲かせ、木の実や葉っぱを実らせるという植物の生態系の仕組みができあがっています。

自然栽培とは、その大自然の仕組みを畑や田んぼに持ってくるという考え方です。ただ不耕起栽培のような農法とは異なります。やはり農業として商売をしていく以上は、質も良くなければいけないし、収穫量もそれなりに安定しなければなりません。したがって、農業として確立させていくための農法でもあるのです。

自然栽培の要は「土」。何の植物を植えるか、またどんな種を植えるかという前に、土地をしっかり作ってあげることが重要で、まずはそこからスタートします。肥料成分や農薬など、本来自然界のなかには、存在しないようなものを入れることによって、土がどんどんだめになってしまうからです。

そういった意味で自然栽培は、永続的かつ体系的に続けられる農法として、大自然に沿った考え方をもっています。自然栽培のノウハウの基本は土づくりといえるでしょう。

自然栽培食材を使用した複合店のパイオニア、『ナチュラル・ハーモニー』の考え方

私どもの店は自然栽培の食材を扱った「レストラン」と「物販」が、同じ空間(建物)のなかにあります。複合店として店を構えたのは、お客さまがレストランで自然の恵みを実際にお召し上がりいただき、その食材を店頭で手に取ってもらいたいという思いがあります。

自然栽培についての知識だけではなかなか手が出しづらいところを、実際に目で見て触れて食することで、大自然のおいしさの意味を実感していただけるでしょう。

ナチュラル・ハーモニー銀座店の物販コーナーには食品だけでなく化粧品類も並ぶ

銀座という場所は都内の中心地。自然栽培の本来の姿である野菜や果物の良さを、広く発信できる場所でもあると思っています。

十数年前、私がフレンチのシェフをしている時代に狂牛病が流行しました。フランス料理は、フォン・ド・ヴォーというベースのだしを仔牛の骨から取ります。その、仔牛や成牛の脊髄などに狂牛病の病原菌が発生するのです。日本には仔牛を食べる文化があまりないですから骨は大体、アメリカやヨーロッパからの輸入になります。

当時、狂牛病が心配で仕入れ先を確認するのですが、明確な回答が得られませんでした。フランス料理店もかなりの痛手を受け、その疑念から「食の安全性」を調べ始めたのです。まだインターネットの情報も少ない時代のなかで、安部司さん著の「食品の裏側」(東洋経済新報社/2005)という本に出合いました。そこに書かれてあった食品添加物についての内容に衝撃を受け、自分の調理場を見渡すと感慨深い気持ちになったのです。

フレンチをやっていた私が“自然食”に目覚めた瞬間でした。その後に出会ったナチュラル・ハーモニーの考え方が、私の知りたい情報とマッチしました。ナチュラル・ハーモニーの調理場に立ち、自然栽培で採れた野菜を切った時の断面のきめの細かさに驚き、「適切な時間の経過を経て育つ野菜とは、こんなにも密度が濃くてしっかりしている」と感動を覚えたのです。

有機栽培の野菜は割と虫食いに遭うといいます。自然栽培では、植物の栄養とされる肥料が本来の自然の仕組みを壊しているという考え方があります。自然栽培によって整った畑には、排除するものがないので虫が来ないのです。つまり自然の正しい仕組みに戻すために虫たちがやってくる。虫たちは肥料を食べにきて、土を一生懸命きれいにしてくれる役割ということです。

その考え方は種も一緒。F1種なども自然栽培にとってはやはり異物。農薬や肥料がまかれた植物の種植を続けると、微量な量でも虫たちがやって来てしまう。一番の理想は自然栽培の畑で採れた作物から種を取り、次の年に同じ畑に植えること。その繰り返しによって土も種も馴染んできて、よい土づくりにつながっていきます。

自然栽培では、「本来、野菜自身が自分の必要な栄養素や養分を、自ら自然の中から取ってきて、なおかつ自分の体内で作りだすことができるので、あえて外から栄養を入れる必要はない」という考えがあります。

自然栽培に携わる人とみなさんの交流の場を

現在では、自然栽培の生産者(農家)さんが全国に幅広く増えてきています。それだけ生活者の方々の需要の高まりを感じますし、何よりもその良さを農家さんが一番実感していることだと思います。その農家さんほか、自然栽培にゆかりのある方々とみなさまが交流できる場をと思い、自然栽培への取り組みを語りながらの食事会を定期的に開催しています。

【2019年8月23日に行われた、自然栽培を愛する銀座美院 増本拓さんによるイベントにて】


食事会の聞き手は自然栽培食材のアドバイザーの清水さん。普段お客さまへ「農薬は肥料は使わず、自然のリズムに沿って育ったお野菜」であること、「肥料はなくても、土作りや、肥料がなくても育つタネづくり(タネを買うのではなく、自家採種)をしていくことで、肥料や農薬に頼らず、植物と土の本来持つ力を引き出すことができる栽培方法」であること、「農家さんの実体験としても、肥料を入れないと虫もやってこないようで、結果農薬も必要なくなっていくそう」というようなご説明をさせていただいています。

そんなナチュラル・ハーモニーには、季節の旬野菜のラインナップを個人さまのお宅へお届けするシステムもあります。生産者の名前はもちろん、品種や種の情報、その農園が自然栽培を始めて何年目なのか、F1種を使っているのかまで一覧記載して野菜と一緒にお届けしています。

また新米の季節は、新米の入荷が11月からと世間より遅いです。自然栽培は肥料がない分、しっかり根っこを張ってから上に育つので、ワンテンポ生育が遅くなるのです。

五感で感じる食事を摂ることが美しいカラダづくりに

私はいまでは、何をするにも「自然を手本」にすることを基準に考えるようになりました。そして食事は五感を大切にしていただくこと。つまりカラダが必要と感じるものを食べることが、より健康的に美しいカラダをつくっていくと自ら実感しています。

自然栽培の野菜を使った魚料理(ナチュラル・ハーモニー銀座店「Restaurant日水土」にて)


◆◆◆後記◆◆◆

「野菜が育つ土台部分を、しっかり整えることができれば野菜自身が立派に育っていく」と語る浅川さん。いわば野菜を自立させる栽培方法ともいえるかもしれません。それは人も同じで、自然にふれたり日光を浴びたり自分自身でエネルギーを生み出すのも重要だと話されました。

そしてカラダが足りないと感じるものを欲したとき、その食の材料に何を選択するかが大事だといいます。自然の恵みを豊富に含む自然栽培の食材を使った、浅川さんのお料理は優しさを感じる大自然のおいしさです。

浅川 勇人さん(アサカワ ハヤト)
自然栽培食材を使用したフランス料理がベースのナチュラル・ハーモニー銀座店「Restaurant日水土」シェフ。山梨県北杜市出身で普段から自然を愛し、山歩きと川釣りが趣味。店名の「ナチュラル(自然)」と「ハーモニー(調和)」と同様、人と自然の調和を第一に考え、現在、助産院でも料理を提供。お母さんとお子さんの食育にも貢献している。

ナチュラル・ハーモニー
https://naturalharmony.co.jp

参考:自然栽培の理念(自然栽培全国普及会) 

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