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森林浴
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森林浴が免疫力をアップ/がん予防にもなる秘密はフィトンチッド

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みなさんは森林浴をしていますか。森林の中でよい空気を吸うととても気持ちがよく、癒されますね。なぜ、森林浴を体験すると癒やされるのでしょうか?

科学的にも、森林浴をすることで病気を予防できる可能性があることがわかってきました。その秘密は「フィトンチッド」。フィトンチッドとは植物が発散する香り物質のことで、植物が提供してくれる癒しのファイトケミカル(植物が持つ化学成分)です。

フィトンチッドによる森林浴効果について、森林総合研究所 農学博士の大平辰朗先生にお話を伺いました。

森林大国である日本

日本は資源に乏しい国と言われており、エネルギーや食料などの資源は輸入される割合が高い状態にあります。しかし、私たちの周りを見渡せば森林が多く、調べてみると国土の7割が森林で占められています。これは立派な資源大国ではないかと考えられます。

現在、私は身近に存在する森林資源を原料とし、含有成分の一種であるフィトンチッド(香り成分)を活かした様々な商品を開発し、生活環境の改善に役立てる新しい森林ビジネスに関わる研究を行っています。その中には数十億円の売り上げを達成する事業もあります。本日は、フィトンチッドの詳細とそれを用いた新規事業の取り組みについてご紹介します。

森林浴と森林セラピー

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森林の香りといえば、森林浴が思い浮かびます。

森林に行くと、とても清々しくて心地よい。森林の中を散策するだけで、リラックスしたりできます。森林浴効果を科学的なエビデンスに基づいて実証し、健康改善に役立てようという取り組みとして「森林セラピー」※1があります。

森林セラピー効果はどのようなメカニズムによるものでしょうか。研究が進んでいますが、現在のところ人が有する五感(視覚、味覚、嗅覚、触覚、聴覚)を通して得られる効果と考えられています。

「森林浴で抗がん力が上昇する」というタイトルの新聞記事があります。これは日本医科大学大学と森林総合研究所の合同チームが行った研究に関するものです。

ここでいう抗がん力というのは、NK細胞の活性についてのことであり、言葉だけみると少々飛躍した表現ですが、NK細胞の機能の一部を強調した感があります。

NK細胞は一般的には人の免疫力に影響するといわれておりますので、この細胞が活性化されれば、人の免疫力にも何某かの影響が現れるという考えができます。このことから免疫に関与する細胞が活性化するということは、私たちにとってプラスの効果であるといえるでしょう。

【森林セラピー実証実験】
大手企業に勤務の37~55歳の男性12名。年代的にも会社などで責任のあるポストにいる方で、非常に高いストレスにさらされており、その結果免疫力が落ちている方(お疲れサラリーマン)を選出しました。

実験としては水曜日と木曜日に血液の採取をして、その後、金曜日と土曜日に、都内から新幹線などで1~2時間ほどの距離を移動をし、その後2時間程度の森林散策後に、生理的な数値などの変化を調べる内容です。

実験対象者は、森林浴前のNK活性から1日後、2日後はさらに上昇し、ストレスがあまりない人とほぼ同じくらいの数値になりました。

この後、さらに1週間後、2週間後、1か月ごとの測定でも、森林浴前よりNK活性が上がったままというものでした。このことはこの効果が1か月間は持続可能であることを示しています。1か月に1回でも森林のなかで散歩するだけで、人の免疫力を向上できるという話にもつながっていくと思います。

この森林セラピー効果の要因については、前述したように森林要素が人の五感に働きかけて生じる総合的な効果と考えられていますが、嗅覚刺激、すなわちフィトンチッド(森林の香り)の効果を実験室的に調べたところ、有意な効果が認められているとのことです。

フィトンチッドとは、森の香りと考えていただければよろしいと思います。言葉の由来は「植物が他のものを殺す、あるいは害を与える」という意味があります。つまり植物が他の生物に対して何らかの影響を与える物質を発散する現象を意味するのです。

言葉の成り立ちを考えると「フィトン」は植物、「チッド」は殺すという意味になり、結構怖い内容になりますが、これは植物が生産する防御物質であるとも理解できます。植物は一端ある場所で生長すると身動きがとれません。周辺にはその植物にとって外敵となる昆虫や微生物などが多数存在します。それらが植物を攻撃した時、植物は移動することができないので無防備ではすぐに害を被ることになります。

そこで登場するのが「フィトンチッド」です。移動が困難な植物が外敵に抵抗するための手段として「フィトンチッド」を身につけたと考えられているのです。いくつかの植物から得られるフィトンチッドは昆虫や微生物のような小さいものに対して優れた防虫とか抗菌・殺菌効果が見出されています。

一方、人間に対しては、フィトンチッドが適度な濃度であれば、癒やし効果が現れます。この効果が森林浴の癒やし効果ではないかと考えられていました。

フィトンチッド効果が得られやすいシーズンと時間帯

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春先の新緑がきれいになる時期には、マスコミなどから、フィトンチッドの年間変動に関する問い合わせがよくあります。放散量が多い時期は6月から8月です。気候が温かくなれば、フィトンチッドの量も増える傾向にあります。

ただ、その分、森林の中にいる昆虫の動きも活発になりますので、小動物や昆虫に出会う場面もあると思います。

では樹木のフィトンチッド発生の一日の変動はどうでしょうか。フィトンチッドとは複数の成分が集まったものですが、主な成分の変動を調べてみると日中よりも夜の方がフィトンチッド量が多くなるという面白い結果があります。単純にこの現象を解釈すると森の中のフィトンチッド体験ナイトツアーなんていう話も出そうですが……。

この一日の変動がなぜ生じるのかという疑問があります。これは次のように考えられています。植物は24時間絶え間なくフィトンチッドを放散します。一方で日中に太陽が昇っている明るい時間帯は紫外線も多く存在し、逆に夜になると紫外線は少なくなります。

放散されたフィトンチッドは紫外線と接触すると分解されるため、紫外線が多い日中はフィトンチッド量が低くなります。逆に日が落ちて夜になると紫外線の影響が少なくなるため、フィトンチッド量は日中に比べて多くなるのではないかという考えです。

朝方のフィトンチッドがいちばんピーク。早朝の朝靄にはフィトンチッドの濃度も高いことがわかっています。早起きをすることは、やはり得なのですね。

早起きは三文の得といいますが、早起きして森林を散策することでフィトンチッドの効果も得られやすくなり、結果的に健康なカラダづくりができるということもできますね。

森林浴の発祥地といわれる「長野県木曽郡上松町」は樹齢の高い天然の檜のあるところ。ぜひ、森林浴を愉しんでみてください。日本の中では他にどのような場所が森林浴をするのに効果的? と思われる方は、ぜひ森林セラピーソサエティ※1のホームページをご覧ください。

実際に科学的な実証実験を経て選定された場所が確認できます。現在までに全国で60か所以上ございます。

次回は「木材がヒトのカラダに与える影響」についてお話します。

【参考文献】
・森林浴が抗がんタンパク質を増加させること等について(林野庁プレスリリース)
rinya.maff.go.jp/puresu/h17-10gatu/1013sinrinyoku.html
・大平辰朗:森林資源由来の有用成分の効率的抽出・変換技術.繊維学会ファイバ2月号 Vol.65/05-特集,2009.
jstage.jst.go.jp/article/fiber/65/2/65_2_P_72/_pdf

【情報提供】
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
関西支所
支所長 農学博士
大平辰朗先生

・国立研究開発法人 森林研究・整備機構
ffpri.affrc.go.jp
・※1:森林セラピーソサエティ
fo-society.jp

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