
「美と健康長寿」は、すべての女性の目標と言ってもよいかもしれません。実は嬉しいことに、国と産業界もこのテーマに真剣に取り組み始めています。
「美と健康長寿」をテーマにした企業向け展示会、「ダイエット&ビューティフェア2018」が9月に東京ビッグサイト開催されました。
この展示会で経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課の西川和見氏が、ヘルスケア産業政策をテーマに経産省の取り組みについて講演しました。西川氏によると、美容・健康が今後の日本の経済政策の柱になるとのこと。
新たに、若年女性の体調不良がテーマになっているところも注目したいところです。
世界でも類を見ないスピードで、日本が超高齢化に向かっていくことはすでに避けられないこと。そこで、国や産業界はこれを前向きに考えて、日本独自のエイジングケア産業を作り、世界に発信しようと取り組んでいるようです。社会全体で働く人口が少なくなると、今よりもっと、女性の活躍、社会参加が求められるようになります。
そこで、国は「ワーカホリック男性のメタボ検診」というようなオジサン向けの政策だけでなく、働く若い世代のメンタルヘルスや若年女性の体調不良の改善というような私たちにとって身近で、「リアル生活」に影響の大きい問題に取り組むようになってきました。
国はこの取り組みで、女性のこころやからだの健康を犠牲にすることなく、社会に参加し続けることをサポートする仕組みを作ろうとしています。
「過労死」という言葉を生んだ日本人の働き方は、働く人の健康に影響を与え、結果的には働く個人も会社も幸せではなくなっていました。2014年から始まった経産省の新しい取り組み、「健康経営」は従業員の健康を犠牲にしないで働いてもらうことが重要であることを企業の経営者にわかってもらうものです。
「健康経営」とは、従業員の健康を経営的な視点でとらえ、従業員の健康に投資すること。日本では新しい取り組みとなっていますが、アメリカの企業、ジョンソン・エンド・ジョンソン( 絆創膏やオーラルケアなど日本でも多くの商品が有名なヘルスケア・医薬品メーカー)は、なんと75年も前から「健康経営」に取り組んでいます。
ジョンソン・アンド・ジョンソンの計算によると、従業員の健康に投資すると3倍になって戻ってくると報告されました。そのしくみは
従業員が健康になる
↓
欠勤が減る
↓
出勤している社員の仕事の質と効率もアップ
↓
業績が良くなり、株価も上昇
↓
従業員の健康に投資する会社として企業イメージがアップ
↓
良い人材を採用できる
というように、良いことが連鎖して起ること。経産省によると、日本でもすでに1,200の大企業、2万3千の中小企業に加えて、地方自治体も「健康経営」を始めています。
「健康経営」では、女性特有の健康問題も重要と位置づけられています。女性の健康で問題となるのは、メンタルヘルスと月経関連の不調です。ある試算によると、働く女性の健康問題による損失は、年間7,000億円にもなるそうです。それだけ、メンタルと月経関連の不調が女性の生産性をダウンさせているということと言えるかもしれません。
生理やPMSで体調が最悪、だけど頑張って出勤する、という女性は多いのではないでしょうか。しかし、ここで問題とされているのがプレゼンティズムという言葉です。出勤はしているけれど、心身の健康上に問題があるために、求められるような仕事ができなくなる状態が、プレゼンティズム。
欠勤よりもプレゼンティズムの方が、企業にとってコスト的に悪影響(時間単位の損失ではプレゼンティズムは欠勤の約4倍という説も)だといわれます。
働く女性のサポートというと、妊娠、出産という大きなライフイベントでの支援がこれまで実現されてきました。今や、中小企業でも産休・育休は普通のこと。
しかし、女性が社会で活躍するために必要なのは産休・育休だけでなく、メンタルの不調や月経関連の不調をサポートする仕組みが必要、ということが経産省の「健康経営」のポイントのひとつになっています。
女性のからだの不調、職場や家庭環境に関するメンタルな問題を、少しでも職場がサポートしてくれるようになれば、もっと健康で元気に生き生きと、女性が職場で活躍できることは間違いないことでしょう。
カラダクリア-編集部取材
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラダクリアーの最新情報をお届け