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スピリチュアルは健康に必要か/WHOが過去に改正法案

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ヒーリングやレイキ、瞑想、チャクラの状態など、自律神経を整える意味においても市場の高まる精神の癒し。1998年にWHO(世界保健機関) は、「健康の定義」について“スピリチュアル”という言葉の改訂法案を出したことがあった。

スピリチュアルは日本語で「精神的」という表現もする。スピリチュアル市場が巨大化する現代において、世界的に美容と健康の観点での癒しとヘルスケアを結び付けた考え方があるという。

公衆衛生学修士・自然療法アドバイザーの八木(今)知美さんから、健康とスピリチュアルの定義についてお聞きした。

統合医療・統合ヘルスケアについて

まず、健康を考えるうえで、人々の健康には、さまざまな社会環境要因が関連していることを考える必要があります。

健康の社会的決定因子には、健康的・持続可能な生態系、安全な生活環境(水・空気・土壌等)、交通機関、労働環境、教育、保健医療福祉サービス等がありますが、公衆衛生活動では、人々の健康に関わる包括的なアプローチをしていきます。

そのなかで、特に人々の直接的な健康支援として、保健医療サービスがあり、1次予防から3次予防活動までがあります※1。現在、日本では、統合医療・統合ヘルスケア、という考え方はまだ一般的ではありませんが、今後人々の健康維持増進、補完療法に必要と考えるため、ここでご紹介しておきます。

●統合医療
患者さん中心の医療の考え方として、現代医療だけでなく、根拠のある相補・補完代替療法を統合して行う医療で、病気の治療が中心である。

●統合ヘルスケア
健康とウェルネス※2に対する総合的なアプローチ(従来型医療と補完的アプローチ)
アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、症状のマネジメント、健康増進やウェルネスのために、補完療法を活用することを目指している。わが国では、健康づくりや疾病予防を積極的に推進するための健康増進法「健康日本21」が、平成12年3月より、国民健康づくり運動として開始。

●公衆衛生
ヘルスプロモーションや病気の予防、および他の方法で健康への介入を通し、集団全体の健康増進、寿命の延伸と生活の質の向上を目的とした社会や政治に関わる概念である(WHO)。

保健師の立場では、みなさんに「病気にならないカラダづくり」という予防の観点でのお話しをすることが重要になってきます。

アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)でも、統合医療から統合ヘルスケアに名称変更し、疾患へのアプローチだけではなく、健康やウェルネスも含めた総合的なアプローチを提唱しています。公衆衛生学では、ヒトのカラダをもっと幅広い視点で、健康を促進していくという考え方です。

私たち医療従事者は、健康を促すものとして何をするにも対象者中心というのを忘れない想いでいます。患者さん中心、クライアントさん中心として考えたときに、その人を囲む家族とか、地域社会とか、自然環境との調和を忘れずに統合ヘルスケアを進めていくことが理想と考えています。

この図は左側が、健康日本21の従来型の健康づくりです。私が保健師として仕事をするときは、運動や心の健康の指導をしますが、それに加えて補完型アプローチとして、ハーブやアロマ、瞑想などを取り入れます。

スピリチュアルセラピーというのは、エネルギーヒーリング、エンジェルセラピー、レイキ等があります。

イギリスのカルムバレー統合健康センターでは、実際に補完代替療法のメニューの中に、「ヒーリング」というメニューがあります。自身でも今までいろいろ受けて、実際、役に立っているので、いろいろな方法で人や家族をケアしていくことが大事だと考えます。

古来の健康モデルの変遷

人の身体の根本的な健康を「古来ヒトのカラダは、霊的な存在と認識され病気やケガの際、現代医療がなかった時代には薬草や祈りなどの儀式で手当てをしていた」と記載される文献もあります。

続けて下記は、古来の生物医学から心理、そしてスピリチュアルが健康の考え方に入ってきたことが発表された年代別モデルです。

●古代~産業革命時代
ヒトは霊的な存在と認識され病気やケガに対しては、薬草や祈り、手当、宗教的な儀式等により癒していた。
●19世紀:生物医学モデル(Bio-medical model)
●20世紀:生物心理社会モデル(Bio-psycho-social model)
●21世紀:生物心理社会スピリチュアルモデル(Bio-psycho-social-spiritual model)

19世紀に現代医学が発展し、スピリチュアルの世界は切り離され、病気は病原菌が中心の生物医学モデルが主流になります。20世紀になると、生物医学だけでは全人的な健康とはいえないとのことで生物心理社会モデルが出てきました。そして21世紀になり生物心理社会スピリチュアルモデルというのが発表されています。

科学的根拠のないスピリチュアルを健康として認識するかということを認められていないというのもありますが、実際には民間ベースでスピリチュアルケアを行っている実態はあるようです。

WHO(世界保健機関)が発表する健康の定義をご紹介します。

1998年の健康の定義に‟spiritual”という言葉を入れるかどうかの議論がありました。現在まだ入ってはいないですが、2005年のバンコク憲章という、国際的なヘルスプロモーション定義には、“spiritual and social well-being”という言葉が使われています。また、2018年現在の緩和ケアの定義にも、spiritualという言葉が入っています※4。

さて、健康におけるスピリチュアリティとは実際にはどういう意味なのでしょう。

ロサンゼルスの アーストーン(Archstone)財団コンセンサス会議の報告では
「人生の意味や目的を探求し表現する方法であり、いまという瞬間や自分自身、他者、自然、大切なまたは神聖なものへの繋がりを意味する人類の側面である※3」

スピリチュアルケア学概説では
「人生の危機に直面して『人間らしく』『自分らしく』生きるための『存在の仕組み』『自己同一性』が失われたときに、それらのものを自分の外の超越的なものに求めたり、あるいは自分の内面の究極的なものに求める機能※5」

とあります。このように、ヒトのカラダの健康とスピリチュアリティは、目に見えない精神的癒しともいえると考えています。

次回は「スピリチュアルな健康とは」を解説します。

●Information●
2019年3月21日(木)13時30分~15時30分
『魂の健康(スピリチュアルヘルス)を考える~海外の事例や研究に学ぶ』
講師:八木(今)知美
場所:グリーンフラスコグリーンラボラトリー(自由が丘)

八木(今)知美さん(ヤギ(コン)トモミ)
保健師・公衆衛生学修士・自然療法アドバイザー、葉善~統合ヘルスケア・自然療法の保健室~ 代表、グリーンフラスコ研究所講師
統合医療・自然療法が盛んなオーストラリアのメルボルンで公衆衛生学修士を取得。その後行政の保健師を経て、現在は全人的視点を大切にした開業保健師として活躍。講演も多数。

グリーンフラスコ研究所
greenflask.com

【解説】
※1:病気になったら治すという「治療医学」に対して、病気にならないように予防する「予防医学」がある。一次予防、二次予防、三次予防は、「予防医学」から出てきている言葉で、一次予防は病気になる前の健康者に対して、病気の原因と思われるものの除去や忌避に努め、健康の増進を図って病気の発生を防ぐなどの予防措置をとること。
※2:ウエルネス (Wellness) とは、世界保健機関 (WHO) が国際的に提示した、「健康」の定義をより踏み込んで、そして広範囲な視点から見た健康観を意味する。1961年に、アメリカの医学者、ハルバート・ダンによって提唱され、ウエルネスの用語が作られた。
(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

【引用・参考文献】
※3:Puchalski C,et al:Improving the quality of spiritual care as a dimension of palliative care: the report of the Consensus Conference.J Palliat Med. 2009 Oct;12(10):885-904.
※4:WHO Definition of Palliative Care(WHO)
※5:窪寺俊之:スピリチュアルケア学概説 (関西学院大学論文叢書).三輪書店,2008.
・林真一郎:ハーブと精油の基本事典 メディカルハーブとアロマテラピーに強くなる!.池田書店,2010.
・今知美:イギリスの統合医療から学ぶ : ディクソン博士のインタビューとカルムバレー統合健康センターの視察を通して.東京法規出版.2015.

【参考】
健康日本21
日本とWHO(厚生労働省)
健康の定義について(公益社団法人日本WHO協会)

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