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キッチンファーマシーのイメージ
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林真一郎さんのキッチンファーマシーのすすめ・カラダに優しい機能性食品野菜と果物の美容食

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毎日忙しいなかでの食事。つい外食で済ませてしまう方も多いのではないでしょうか。「食」は美しいカラダづくりの基本。自宅のキッチン(台所)でお手軽に健康メニューを作ることができれば、お財布にもカラダにも優しいですね。

今回は、緑の医学(植物で補う健康法)を研究されている、グリーンフラスコ株式会社代表で薬剤師の林真一郎さんに、美しく健康なカラダに導く野菜や果物を教えていただきました。そのなかでも林真一郎さんがおすすめする野菜などの機能性をご紹介していますので、要チェックです。

キッチンファーマシーで健康生活を意識しよう

キッチンには水も火もあります。自分で選んだ食材で料理を作り、お湯を沸かしてハーブティーを淹れたり、オイルに漬け込んだりという食に関する作業ができる場所ですね。キッチンファーマシーとは、家庭の中で、台所を薬局の代わりとして医食同源(日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を予防する)の考えをもちます。

アメリカはカロリーの多い食生活のイメージですが、80年代から野菜消費量が右肩上がりで、90年代中頃以降は日本を上回り(*1)、がんの罹患率も減少傾向にあります(*2)。野菜や果物の機能性成分が健康に一役買っているといわれているのです。

日本では、2015年に機能性表示食品制度がスタートしています。エビデンス(科学的根拠)があれば、生鮮食料品を含めた食品に機能が表示できる画期的な制度です。

2012年より厚生労働省のホームページに「統合医療」発信サイトができましたのでこちらもご参考にしてください。病院に行く前の予防として、日々の食事を見直し、美容と健康のための生活習慣を心がけましょう。

機能性表示生鮮食品の第1号は、三ヶ日みかん

機能性表示生鮮食品の第一号の三ヶ日みかん
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機能性表示生鮮食品として認められた第1号が、三ヶ日みかん(静岡県浜松市三ヶ日町の温州みかん)です(*3)。機能としては、骨の健康を保ち、骨粗鬆症を予防すること。植物のように光合成ができない人間は、いのちをつなぐ食事が必須。そのためのカロリーを摂取するのは毎日の生活の中で大事ですね。しかし現代人はカロリーの摂り過ぎで、むしろ痩せるためにカロリーを控えなければいけないと気にされている方も多いと思います。

植物に含まれるフィトケミカル(植物化学)成分は、カロリーがないので飢えは防げないけれどエイジングケアには役立つものです。野菜や果物では表面に近い皮の辺りに栄養素が含まれています。例えば、ごぼうも表面の皮を料理の際に削ってしまいますが、やはりその表面に抗酸化成分が多く含まれているのです。

ヒトは呼吸で酸素を体内に取り込んでいますし、皮膚も酸素と接していますので、体内はどうしても酸化していきます。この積み重ねが「老化」の現象ですね。フィトケミカル栄養学では、エイジングケア(=抗酸化/老化予防)として、抗酸化指数ORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity:活性酸素吸収能力)の表示があります。

かぼちゃ、人参、にんにくなどが挙げられていて、スーパーの野菜や果物にORACを表示し始めたのがアメリカです。ストレスが多い環境下の人はORAC値が高い食材を選ぶとよく、今後食品の世界でカロリーとともにORAC値が注目されていくでしょう。

代表的な機能性表示食品の野菜と果物

フレッシュ野菜と植物性オイルドレッシング
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ここで、私がおすすめする野菜や果物をその機能性とともにご紹介します。

●ミカン:骨粗鬆症予防、抗酸化成分が柑橘系のなかでもみかんが圧倒的に一番多い。

●ゆず:血行促進(リモネンという成分)、ゆず湯が効果的。

●かぼちゃ:血行促進、抗酸化(ビタミンEが野菜ではトップレベル)血液循環をよくする。

わが国には、昔から冬至にゆす湯に入ってかぼちゃを食べる習慣があります。カラダが温まり朝までぐっすり眠れるというもの。

●ブロッコリー:解毒酸素誘導、機能性研究で話題になりました(*4)。肝臓で解毒するわけですが、解毒酵素の誘導度を高める働きがあります。アブラナ科のピリッと刺激を感じる成分で、大根にも含まれています。スプラウトのほうが成熟株より30倍くらい解毒作用が強いです。食事の最後にサラダとして食べるとよいでしょう。

ちなみにステーキは、こげると強い発がん物質ができるといわれますが、わさびをつけて食べることでアブラナ科による解毒作用の研究報告があります。

●大豆:ホルモン分泌調整(お味噌汁)、腸内環境をよくします。

●ごぼう:腸内環境改善(キク科、イヌリン)、ビフィズス菌などのよい菌を増やします。

●ヘンプ(麻の実):慢性炎症改善、麻の実を絞ったヘンプオイルはα-リノレン酸、オメガ3というグループです。認知症の予防の研究報告もあり(*5)、日本で注目されてきています。

●キノコ類、マイタケ:免疫賦活(β-グルカンが免疫力を高める)、食物繊維なので吸収せずカロリーがゼロ。昔から中国でもキノコが王様の食べ物といわれてきました。カロリーはないけれど免疫力を高める効果があるということでうなずけます。

●タイム:抗菌、感染予防(シソ科のハーブ)、殺菌力がハーブのなかで一番強いといわれます。毎年風邪が流行るので、お風呂に入れてもいいし、ドライハーブをハーブティーにして飲むとよいでしょう。

ドイツは植物療法が盛んな国ですが、喘息とか気管支炎のときに薬を使わずにタイムティーを飲む習慣があります。また咳止めにドライハーブをボウルに入れて、熱湯を注ぐとたつ蒸気と一緒に出る香り成分を吸入したりします。

●ローズマリー:脳機能賦活(シソ科のハーブ、抗酸化作用がとても強く認知症予防にも)、その香りは、若さを保つハーブといわれます。まるごと料理に使うと、香り以外の抗酸化成分も摂取でき視覚、触覚、味覚、嗅覚の4感を刺激し脳活性の相乗効果になります(五感の刺激が効果的)。

ハーブのなかでも抗酸化力に優れ、これからの季節はローズマリーワインがおすすめです。

◇ローズマリーワインの作り方と作用◇

ローズマリー白ワイン
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ローズマリーを白ワインに入れ、一週間くらい置くだけ。冬に布団から出られない朝が苦手な人、冷え性の人、エンジンがかかりにくい人に。元気がない、食欲がない、食べないとますます活力が低下するので、ローズマリーワインを飲んでみるとよいでしょう。ドイツではよく飲まれています。簡単に作れますし、おすすめです。

機能性食品の摂取は、野菜スープがおすすめ

機能性食品成分の野菜スープ
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野菜の機能性成分を摂るのにおすすめなのが、スープです。熱すると、成分が壊れるのではという方もいますが、家庭料理のレベルではそんなに簡単に壊れません。むしろメリットがあります。

野菜や植物は細胞壁といって細胞が壁に囲まれています。ヒトの場合は細胞膜といって柔らかいですが、野菜・植物の細胞壁の壁は硬く、スープにすると壁が柔らかくなり、中の成分が出てきます。それをスープとして飲むのです。お米を入れるとお粥になります。野菜スープは病気になったときに飲んだりすると思いますが、普段から飲むととてもカラダにいいですよ。

ところで、どんな野菜を摂ったらいいかということですが、簡単な目安があります。植物は、自分が酸化しないように色素成分を作るので、例えばパプリカなどのような色の濃い野菜が、おおむね抗酸化力が強いといえるでしょう。色素の濃さは、紫外線を吸収してくれるサングラスみたいな役割をもつのです。

とはいえ、色が薄いのはエイジングケアに向かないかといったらこれもよくできていて、白や黒色の食物は免疫力を高める効果があります。マイタケやネギの白い部分など。ですから結論的には、色が鮮やかな野菜と色が淡い白や黒の野菜を両方一緒に使うといいですよということになります。

アメリカには、アンドリュー・ワイル博士という統合医療の世界的リーダー(アリゾナ大学医学校の診療教授)がいます。彼はハーバード大学医学部へ進む前から植物の研究をしていますが、ワイル博士が提唱しているのがエイジングケアに繋がる抗炎症ダイエットです。「ダイエット」という言葉の意味は、本来、痩せるとことではなく「正しい食生活」をすることなのです。

◇林真一郎さんのハーブ(植物)に関するプチ話◇

コミュニティガーデン
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植物が人と人の間に入ると、コミュニティなどがうまく回りだす不思議があります。つながりをもたす力がハーブにはあって、身近に自然が足りないと不調和が起きやすいともいわれます。

ニューヨークでは、犯罪が起きやすい場所にコミュニティガーデンを作るんです。そこで近くの人たちがお昼にお弁当を食べたり、マルシェなどを開催すると人と人との関係がよくなるそうです。自然は、社会のコミュニティや心身の健康に繋がるものなのですね。

林 真一郎さん(ハヤシ シンイチロウ)
グリーンフラスコ株式会社代表・薬剤師、東邦大学薬学部客員講師。ホリスティック医学としてのアロマテラピーやハーブ療法の普及に取り組む。『植物療法学』 (京都廣川書店:分担執筆/2016)、『植物力をくらしに活かす「緑の医学」』(東京堂出版/2014)他多数出版。

グリーンフラスコ研究所
http://www.greenflask.com

【引用文献】
*1:野菜の消費をめぐる状況について - 農林水産省
*2:米国がん協会(ACS)「がん統計2018年版(Cancer Statistics 2018)」
Siegel RL,et al:CA Cancer J Clin. 2018 Jan;68(1):7-30.
*3:うんしゅうみかんの機能性表示の取組(消費者の信頼確保に向けた取組/農林水産省)
*4:A major inducer of anticarcinogenic protective enzymes from broccoli: isolation and elucidation of structure
P Talalay,et al:Proc. Natl Acad. Sci. USA 89,1992(6):2399–2403.
*5:オメガ3系脂肪酸(ドコサヘキサエン酸(DHA))の認知症予防効果の研究報告について
Schaefer EJ,et al:Arch Neurol.2006 Nov;63(11):1545-50.

【参考文献】
・わさびの抗腫瘍効果の研究報告について:Food Science and Technology Research 2003 Volume 9 Issue 2 Pages 148-151
食品の抗酸化力評価の提案~ORAC分析を中心に~(一般財団法人食品分析開発センターSUNATEC)
〈野菜や果物の機能性研究について〉
・食品機能性の科学編集委員会,編:食品機能性の科学.産業技術サービスセンター,2008.
・林真一郎:カラダを元気にするハーブ&野菜.日東書院本社,2010.
機能性表示食品に関する情報(消費者庁)

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