5月から6月にかけて旬を迎える国産アスパラ。特に主流の「グリーンアスパラ」には疲労回復や代謝アップに嬉しい栄養素が豊富です。今回はそんなアスパラの栄養と、上手な茹で方、お手軽レシピなどについてご紹介します。
初夏のストレスケア
春から初夏に季節が移ろうこの時期は、とても快適な季節ですが、日によっては寒暖差が大きく、体温調整がうまく追いつかずに風邪をひいたり体調を崩しやすい時期でもあります。また、4月から始まった新生活の疲れも出てきやすい時期!
特に意識していなくても、心身ともに疲れがたまりやすいのが5月から6月です。強い疲れを特に感じていなくても、疲労回復のための工夫を普段から心掛けておくことが大切です。そのためには、1日の中で、リラックスできる時間を少しでも作ること、そして疲労物質をためない食生活が欠かせません!
アスパラが疲労回復をサポート!
私たちの体内では疲れがたまると疲労物質「乳酸」が多く発生します。アスパラには、乳酸の代謝(エネルギーに変換する)を助ける働きがある「ビタミンB群」や「アスパラギン酸」がとても多く含まれています。
アスパラギン酸の働き
アスパラギン酸とは、その名の通りアスパラに非常に豊富なアミノ酸の一種で、疲労回復・スタミナ強化をサポートする他にも、排泄特に利尿作用をサポートする働きも期待されています。
余談ですが、アスパラを食べた後に尿から独特の臭いがする人が多いのは、アスパラに含まれる硫黄含有成分と酵素の働きによるもので、個人差があるようです。臭いがしてもしなくても特に体には問題はないのでご安心を!
美容にも嬉しいアスパラの栄養
アスパラには他にも、むくみ予防をサポートするカリウムや、高い抗酸化作用(細胞老化の原因となる活性酸素の働きを抑える働き)をもつビタミンA・ビタミンC・ビタミンE、貧血予防をサポートする葉酸(妊活や妊娠初期に特に必要な栄養素)、丈夫な骨の形成にかかわるビタミンKなど、美容と健康に欠かせない大切な栄養素が豊富に含まれています。
特に「ビタミンACE(エース)」は「抗酸化トリオ」と呼ばれるほど高い抗酸化力を持つビタミンで、相乗効果でその抗酸化力がアップすると期待されています。アスパラにはこの3つが含まれているため、効率よくエイジングケアや紫外線ケアが叶います。
体内の抗酸化力が高まることは美容面だけではなく、健やかな体作りにもつながります。疲れにくい体作りのためにも欠かせません。
初夏の紫外線に注意!
ところで、4月頃から私たちの肌が浴びる紫外線量は急増します。お天気のいい日は、夏とほぼ変わらないくらいの強力な紫外線が降り注ぐといわれます。日焼け止めや帽子・サングラスなどの外側からのケア「アウターケア」に加え、アスパラのように抗酸化力の高い栄養豊富な食材を意識して摂り入れる内側からの「インナーケア」も、美肌作り、シミ予防のためには欠かせません!
一度できてしまったシミを消すことは簡単ではありません。うっかり日焼けを防ぐ工夫、日頃から抗酸化作用の高い食材を摂り入れることは美しく年を重ねるために必要不可欠なのです。
アスパラの上手な茹で方
アスパラを買ってきたら新聞紙やラップでくるんで野菜室に立てて保管しましょう。寝かせるより立てておくほうがアスパラの風味が保たれます。長期保存すると食感が悪くなりやすいので、なるべく数日以内に食べきるのがおすすめ。3日以上置く場合は下茹でしてから冷凍保存しましょう!
★アスパラの茹でかた★
1.鍋または深めのフライパンにたっぷりに湯を沸かし塩をひとつまみ加える。
2.よく洗って根元部分を1~2㎝切り落としたアスパラを根元から立たせるようにして湯に入れる。
3.15秒ほど経ったらそっと寝かせて穂先まで湯に入れる。約1分茹でる。
4.ざるに上げてしっかり湯切りする。水はかけず自然に冷ますこと。
※冷凍保存する場合はしっかり水気をふき取り、食べやすい大きさに切ってからラップでぴっちりと包み、食品用冷凍保存袋に入れて袋の空気をしっかり抜いてから冷凍庫へ。約2か月間保存可能です。
※新鮮なアスパラは心配ありませんが、もし根元部分のかたい筋が気になる場合は、ナイフで根元部分約5㎝ほどの皮をそいでおきましょう。食べる際、歯触りが気になりません。
※アスパラをゆでた後の湯は捨てずにスープやみそ汁などに活用しましょう。そうすることで、湯に溶けだしたカリウムなどの栄養を無駄にせず摂取できます!
アスパラが主役の疲労回復レシピ
<材料>
・アスパラ 5本
・豚肉 100g (バラ肉・切り落とし・細切れなどがおすすめ)
・オリーブオイル 大さじ1
・塩 少々
・こしょう 少々
・すりおろしにんにく ティースプーン一杯
・あらびきガーリック 少々
<作り方>
1.フライパンにオリーブオイルをひき、食べやすい大きさに切った豚肉を中火で炒める。
2.肉に火が通ってきたら、約3㎝幅に切ったアスパラとすりおろしにんにく少々を加え中火で炒める。
3.全体に火が通ったら火を止め、塩・こしょう・あらびきガーリックを加え全体をよく和え味を調えれば完成。
※疲労回復をサポートするビタミンB群やたんぱく質が豊富な豚肉を使うことで、アスパラとの相乗効果でストレスケアを狙います。
※ビタミンB群は水に溶けだしやすい性質(水溶性)のため、炒め物や汁ごとおいしくいただける煮込み料理などが栄養を無駄なく摂ることができます。
旬のアスパラは栄養満点!季節の変わり目の疲労回復や初夏の紫外線対策にぜひお試しください。
執筆者
- 國塩 亜矢子 フードコーディネーター
【保有資格】
・女子栄養大学認定・食生活指導士1級
・べジフルビューティーアドバイザー
・調味料ソムリエ
・キッズキッチンインストラクター
【著書】
・決定版!節約・冷凍レシピ(宝島社)
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