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健康な脳、幸せな脳をつくるアロマ回想法【トピック】

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認知症治療のなかには、懐かしい音楽を聴いたり(聴覚)、写真を見たり(視覚)、過去を語ったり(声を発する)することで精神が安定し、脳が活性化されて、認知機能の改善も期待できるという「回想法」という心理療法があります。

今回は、嗅覚を使って回想を引き出す「アロマ回想法」をご紹介します。アロマセラピー(精油)による回想法は、健康な方でもアンチエイジングや病気の予防として実践できるものです。とてもリラックスして、幸せを感じるホルモン“オキシトシン”も分泌されるようです。

合成香料と天然香料の違い。食品にも化学香料

まずは香料の知識から。香料は、大きく分けて2種類あると考えられています。

●合成香料
香気を付けるための目的で使用される。2500品目におよぶ化学合成物質化から、コーヒー、ストロベリーなど、食品が本来持っている香気と同じものを作り出すため、多数の物質を調合するもの(日本はこの調合レベルで世界トップといわれる)。焼きそばのソースや冷凍食品の味付けにも、化学(合成)香料が使用されている。

●天然香料
花や草木、果実などから取り出す植物由来の香料。オーガニックのバラ(ダマスクローズ)などは、婦人科や精神科で使用される例もある。欧米では、精油は薬ともいえる考え方をもつ。また、最近ではビーフやポーク、チキンなどの食肉類やかつお節、ホタテ貝などの魚介類、エビやカニなどの甲殻類の抽出物が動物性天然香料として利用されている。

これからの医療は、NBMに。アロマがつくるヘルスケア

NBM(ナラティブ・ベィスド・メディスン)とは、ナラティブ(ナレーション:物語)、をベースとした医療のことです。基本的にEBM(エビデンス:科学的根拠)に基づいた医療が先端ですが、ここ最近になってとくに高齢者や精神病など治療が困難な疾患は、全体の10~40%程がEBMが適用されない事例もあるとのこと。

NBMはEBMを実践していた英国の医師が提唱した「患者さんが対話を通じて病気になった経緯や理由などを話すことで、その背景や人間関係を理解し、疾患の問題に対してホリスティックに全人的(身体、精神、心理、社会的)にアプローチをしていく臨床手法」です。

いわゆる、医師と患者さんの溝を埋めるための人間同士のふれあいというかたちでの治療といえます。実は分野によってEBMだけでは「治癒」治って癒えるということには繋がっていけないことが医療者のなかで実感していることも。最終的な医療の目的は治癒していくことが重要なのですから。

共感する脳に働くナラティブなアロマセラピー

NBMでのアロマセラピーは、精神科病院や介護事業所等で患者さんに語ってもらうひとつの方法です。香りを嗅ぐことで、記憶と感情を引き出す嗅覚の力を借りて、アロマで回想する治療法を実践している例もあります。アロマセラピーは、ナラティブを上手に使っていくことができるのです。

眼窩前頭皮質嗅覚野(がんかぜんとうひしつきゅうかくや)は、嗅覚の最終経路。「共感する脳」といわれています。香りを嗅ぐことは、医療者と患者さんがお互いに深呼吸をするので安らぎを与え合うこともできます。アロマセラピーは、お互いがリラックスできる環境に導いてくれるのですね。

本当の意味で、患者さん中心の医療、患者さんの心にふれる医療ということを考えたときに、人間性の深さ、感性の高さというのは、非常に大事なことだと気づくことになります。香りの世界は、こうして医療の世界でもとても役に立っているのです。

主体性を引き出すアロマ回想法。新しい医療の考え方

いままでは「医者が患者を治療し、その周りにスタッフがいる」構図が典型であったと思います。でもこれからの医療は、患者さん自身もそのご家族も、病気の問題に対して一緒に解決方法を考えていき、医療者は、そのエンパワーメント・アプローチをしていく役割を本質としていくでしょう。

つまり、患者さんはたんに「してもらう側」という受け身ではなく、自分自身で自分の健康を考えることが自立につながり、医療者はチームで患者さんの自立を支援していくのが、新しい医療の考え方といえるかもしれません。

精神科病院では、アロマ回想法でPTSDやうつ、過呼吸の方のカウンセリングを治療の一環として役立てている例があります。また嗅覚は大脳辺縁系(だいのうへんえんけい/本能行動や情動の中枢)に伝わることから、嗅覚の衰えは認知症症状の目安にもなります。

ますます深刻化される超高齢化社会の日本は、介護される側だけでなく、介護をする側も負担が大きくなりますね。認知症予防に、また脳のアンチエイジングにもアロマ回想法は役立つといえるかもしれません。

そして、好きな香りを嗅いでリラックスすることで、幸せな精神状態になるオキシトシンの分泌も促します。

山下 真理さん(ヤマシタ マリ)
一般社団法人 日本アロマセラピー学会理事、IFA認定アロマセラピスト、横浜薬科大学 客員教授、薬剤師 

アロマセラピー ファルマリエ
pharmarie.com

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